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民話~佐右衛門島のはなし

民話~佐右衛門島のはなし

むかしむかし、永井に佐右衛門という爺さんが井手のお宮の真のほうに小さな家を建てて、腰のまがった婆さんといっしょに住んでいま した。ある夏のこと、いく日もいく日も雨が降り続きました。ある晩、大雨の中、表の戸をどんどんたたいて「じい起きよばあ起きよ」と大声 で呼ぽるので驚いて表へ出てみると、暗いのでその者の姿や顔はよくわからない。「こっちこい、早くこい」と言うので仕方なく引っばら れるようにしてついて行った。

すると連れてこられたところはお宮の土地の一番高いところ、しかも杉の大木の下でした。雨は降るし暗いし、ふるえながら木の下にしゃがみこんでいました。 しばらくするとあたりの森で「コンコン、ワイワイ」とキツネの鳴き騒ぐ声が聞こえてきた。キツネが鳴くと「村さわぎ」といい、大変な ことが起きるといわれていたので案じていると、ピカッと稲光りがして大雪が鳴り、まもなく西の山あたりから大きな水音が聞こえてきま した。裏の朝明川の大堤がきれて、大水が滝のようになっておしよせてきたのでした。みるみるうちにお宮の周りも海のように泥水があふ れ、社の一部も流れてゆきました。恐ろしい一夜を木の下で明かした、じいとばあの2人は水の引くのを待って戻りました。見れば家はあと方もなく流れて一面川原になっ ていました。「ゆうべわしらを起こしてくれたのは宮に住むキツネが人に化けたに違いない」といい、さっそくお宮にお礼にゆきました。 2人は元の場所に小さな家を建てて住み、助けてくれたキツネの親子に好物の餌をやって仲よく暮らしました。永井の人々は佐右衛門夫婦の住んでいた所季その名をとって「佐右衛門島」と名づけました。